2018年秋、金閣殿の産みの親である坂本紙工業さんがその長い歴史に幕を降ろされました。もともと手漉き和紙から始まった坂本紙工業さんは昭和40年代に機械化生産に取り組まれました。オフセット印刷に適した和紙の開発に取り組まれた先代は試行錯誤を重ね金閣殿を作り上げました。その命名は仏閣本殿内の光り輝く様子にインスパイアされてそうです。
金閣殿は写経用紙や便箋など多くの和文具に使われてきました。いの町和紙博物館のリーフレット、入館券にも使われていました。しかし抄紙職人でもある現社長の高年齢化に伴い、抄紙機械の老朽化もあって工場の閉鎖を決定されました。
金閣殿が本当に良い紙だっただけにとても残念ですが、こういう素晴らしい紙に出逢えた事、お付き合いさせて頂いて、行く度に暖かく出迎えてくれた事は、僕達にとって非常に有難いことでした。
現状の和紙メーカーも同じ状況のところはたくさんあると思います。こうやって過去の素晴らしい技術やモノは失われていくのだなと実感しました。その時代ゞに築かれたモノを残していくのはとても難しいことです。時間の流れは過去から未来へと色々なモノやコトを無くしては産み出し続けていくのでしょうね。