グレー色18色×3斤量=54種類!
これほどグレーだけのバリエーションを持つ紙は
世界中探しても「トーンF」だけだろう。
なんともCrazyだ!
なぜ?これだけの種類のグレー色を作ったのか?
その開発秘話を聞きてみたい!
平和紙業株式会社 大阪本店
販売推進課チームリーダー 三木有美子さんを訪問し
お話をお伺いしました。


インタビュー

「トーンF」の開発秘話

「トーンF」について沢山お伺いしたいので、どうぞ宜しくお願い致します~。

「トーンF」は平和紙業東京本社の谷口和隆が企画開発した紙なんです。「デザインのひきだし30号・38号」にも大きく掲載頂いて沢山の方に知って頂く事ができました。

「デザインのひきだし」は大人気ですものね!僕も店頭で見つけたらすぐに買ってます (笑)

2013年東京オリンピック開催が決定した折に「オリンピックにちなんだ紙を作りたいな~」というのが開発アイデアにあがったそうです。

オリンピックにちなんだ紙ですか!?

オリンピック五輪の色「青・黄・黒・緑・赤」を各色階調表現、つまり紙の色種でグラデーションが表現できれば面白いんじゃないか、という案が出ました。
しかし試作してみたものの、あまり良い結果が得られなかったそうです。特に黄色ははっきりとした階調が得られませんでした。

しかし「黒」には階調・グラデーションの兆しが見え、可能性を感じたそうです。「これは面白いかも」という手ごたえを得て、そこからモノクロをグレースケール表現することにシフトしました。

本来ファンシーペーパーの特徴のひとつに「カラフルな色種」が挙げられます。しかし「グレー階調のみで色種を作る」というアイデアは斬新かつ面白いコンセプトにな成りうると考えたようです。

三木さんのお話に「面白い」という言葉が沢山でてきますね。

私自身が「トーンF」開発に携わってはいないので、一概には分かりませんが、「トーンF」の場合、「面白い」の先に「可能性」が見えたので開発が進んだのだと思います。

一方、「階調表現を作るなら、ひとつの染料の濃度を比例調整するだけだから、低予算化できるかも」といった皮算用もあったようですよ(笑)
結局は綺麗なグレーを得る為に複数の染料を使用し、比例的なトーンスケールを得るには濃度を机上計算するだけでは実現できず、手間暇かけて染料濃度を調整し試作を重ねる必要がありました。
70%の色調の紙を作るには、ただ単に70%濃度の染料を添加するだけではダメだったんですよね~。

ヘエ~、ただ単に比例計算するだけではダメなんですね~。

きれいなトーンスケールを作るための階調選定に半年掛かったようですよ。

2017年に発売されたCG(クールグレー:寒色系)、WG(ウォームグレー:暖色系)各7階調

「トーンF」を発表した時の反応はどうでしたか?

「グレーでこんなに色種を作ったんですか!?」という驚きの声がありました(笑)

ははは。そりゃそうですよね~

でも多くのデザイナーさんがグレーを選択する機会が意外と多いんですよ。だから「グレーにこれだけ色数があって嬉しいです!」「欲しいグレーが見つかる!」というお声を頂けました。

色んな紙種にグレー色はありますが、それぞれ色調が異なっています。色んな紙に散らばったグレーを見比べて探す必要があったんです。だから欲しいグレーに出逢うには一苦労でした。
「トーンF」はグレー色調としてひとつにまとまっているので便利だそうです。

じつは僕も新しい商品を作る際に「トーンF」から選びました。そういう視点で「トーンF」を見てみると、今まであまりみたことがなかったグレーと出逢えたんです。

そうなんです!
これだけのグレー階調の中には、皆さんがあまり見た事のないと感じるグレーが含まれているはずです。

さらに「トーンF」なら、2種類や3種類のグレー色の商品シリーズ(パッケージとか)を展開する際にまとまり感を生むことができますよ。

印刷でグレー表現すると、ちょっとしたインキ量差で階調誤差が出やすいんです。「トーンF」の場合、階調色調とも安定しているので、ロット誤差による色ブレを心配する必要がありません。

グレー色で言うと「チップボール」や「地券紙」なども人気です。しかし「トーンF」はそれらでは表現できない「高級感のあるグレー」「綺麗なグレー」を演出できますよ。

「トーンF」を発売してみて気付いた事はありますか?

こんなにも皆さんグレー好きだったのか!と(笑)。グレー好きサン多いですね!
そして皆さんそれぞれがそれぞれの好きなグレー色を持っているのだな、と知りました。

でもPANTONEが発表する「Color Of The Year」で過去20年グレーが選ばれた事はないですよね。

でも紙の販売の中で1位:白系、2位:黒系、3位:グレー系なんですよ。

ヘエ~、そうなんですね~!

「トーンF」は2017年に発売されて、2019年に色が追加されましたよね!
なぜ7階調に満足せず、増色したんですか(笑)?

谷口に聞いてみたところ、「あったら楽しいかな」と(笑笑)。実は「トーンF」発表当初から皆さんに好評を頂いてました。皆さんのご期待を頂いたこの紙を、もうワンランク面白くするために増色しました。

す、すごい!!

これまでのファンシーペーパーの「カラフル」「エンボス柄」などといった特徴とは異なる感性を「トーンF」は持っていますよね。まだまだ面白い紙を開発する余白がある事を感じます。

「トーンF」は発売以来、継続抄造されていますか?

はい。すでに初回生産以降、リピート抄造できていますよ。


余談

あ!!そう言えば以前お会いした時に、紙ファンイベント(訳:シワシワ通信ファンミーティング「紙話紙和」)を開催されるお話されましたね!

そーなんですよ!これが第1回目の様子です。
(シワシワ通信記事「紙話紙和 密着ルポ」を見せる)
https://shiwa2.com/shiwashiwa-news/

実は弊社の西谷(平和紙業東京本店 西谷 浩太郎氏)がツイキャス番組始めたんですよ!

あ!聴きましたよ!

「紙と印刷とラジオ」
https://twitcasting.tv/kamitoinsatsu

平和紙業の西谷サンの記事はコチラ!とても面白い方です~
TEC-LAB+ webメディア
https://www.toppan-tec.co.jp/tec_lab_plus/interview/116/
ぜひツイキャス「紙と印刷とラジオ」お聴きください~


今回の「トーンF」開発秘話インタビューでは
色んな「なぜ?」という問いに
「面白いと感じられたから、だと思います」
という回答を頂きました。

「面白いかどうか」

発想の種として
このモノサシが活き続けている
平和紙業という会社の魅力を感じました。

そして紙が売れにくい現在において
「トーンFは継続抄造できている」
ということを知り、
ひとつの新しい基盤が
産まれたように思いました。

まだまだ魅力ある紙を開発をする
余白が沢山ある

そのことを知って
勇気をもらえた気持ちになりました。


Paper tasting Gray vol.2 / Gray vol.3で
トーンFを味わえます!

Paper tasting Gray vol.2 / vol.3

ワインの様にテイスティングできる試し書き専用パッド
Paper tasting Gray vol.2 / Gray vol.3
にトーンFが収録されています。

Gray vol.2 (クールグレー系)
B6サイズ:トーンF CG3 <60>
A6サイズ:トーンF CG4 <60>
B7サイズ:トーンF CG5 <60>
詳しくはコチラ

Gray vol.3 (ウォームグレー系)
B6サイズ:トーンF CG3 <60>
A6サイズ:トーンF CG4 <60>
B7サイズ:トーンF CG5 <60>
詳しくはコチラ

しゃちょーさん
幼少の頃より紙の商いの中で育つ。遊び場は紙屋の倉庫。小学生の時にすでに倉庫内でプラッター運転を覚え、前腕でだけでプラッターの前後レバー、爪の前後上下を操作する倉庫マンに憧れる。高校生でアングラ・コアと出会い、ノイズパンク作曲活動開始。大学では生物学を専攻し、将来農家になることを夢見る。ホタルイカ研究に同行し発行体採取後の生きたホタルイカを醤油だれの中にひと泳ぎさせる「沖漬け踊り喰い」を発案する。また、学生時には「ひとり旅」に没頭。スイス自転車一周旅の際は、ブライトホルン単独登頂を成功させる。卒業後、紙の専門商社を経て、山本紙業に入社。現在、山本紙業の代表を務めている。
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